
困難な問題を抱える女性への支援等に関する基本計画(仮称)(案)について
中野渡しほ
困難な問題を抱える女性への支援等に関する基本計画の策定について、ただいま、パブリックコメントの結果と計画素案からの変更点の概要について、報告があったところでございます。
パブリックコメントの意見が計画案に反映されたことは、評価するものでありますが、4月以降、この計画に基づきしっかり取り組んでいただく必要がございます。
そこで、以下、伺ってまいります。
中野渡しほ
⑴法律及び条例施行までの準備について
いわゆる困難女性支援法は、今年の4月に施行されることになっております。あわせて、法律の施行に伴う道の関係条例も同時に施行されると承知をしております。法律と条例の施行まで1か月程度しか時間がありません。今年度中に準備しなければならないことが多々あると思いますが、どのような準備が必要でどのように考えているのか、伺います。
和田 子ども家庭支援課長
法令等施行までの準備についてでございますが、法令等施行と同時に、現在策定中のいわゆる困難女性支援計画に基づき、困難な問題を抱える女性への支援を円滑に実施できるよう、市町村をはじめとした関係機関に対し、法の趣旨や条例改正の内容、計画の具体的な中身について、速やかに周知を図りたいと考えております。
また、来年度、設置を予定しております支援調整会議の構成メンバーや設置要綱につきましても、できるだけ早く検討を開始してまいります。
さらに、既に道のホームページで、広く道民の方々を対象に困難女性支援法の周知を図っておりますが、今後、リーフレットや道のSNS等も活用しながら、法の趣旨、目的、内容等につきまして、より一層分かりやすい形で周知するなど、施行に向けた対応をしっかりと進めてまいります。
中野渡しほ
わずかな期間となっております。どうかよろしくお願いします。
中野渡しほ
⑵道立女性相談援助センターでの取組について
困難女性支援法の施行に伴い、あらゆる年代の女性の様々な困難な問題へ対応をしていく必要があります。その中心となるのは、道立女性相談援助センターになると思いますが、センターでは、これらの対応を行うために、新たにどのように取り組んでいくのか伺います。
和田 子ども家庭支援課長
道立女性相談援助センターでの取組についてでございますが、道立女性相談援助センターは、困難な問題を抱える女性を支援するための道内の要となる施設として、支援を必要とする女性に対し、主に相談対応、一時保護、自立援助による支援を行っており、相談対応は電話による相談を基本として、来所相談も行っております。
今後、メールなどを活用した相談対応や利用実績の少ない自立援助部門の活用の在り方などを検討するとともに、支援調整会議の設置による関係機関や民間シェルターなどとの連携強化に取り組んでまいります。
中野渡しほ
再-⑵
道立女性相談援助センターでの取組について、メール相談などを活用した相談対応について検討するとの御答弁でございましたが、現在、情報ツールとしてはSNSの活用が主流となっております。また、電話では相談しにくいという場面もあると思います。メール相談だけではなく、SNSを活用した相談対応についても検討していくべきだと考えますが、道の所見を伺います。
和田 子ども家庭支援課長
道立女性相談援助センターでの相談対応についてでございますが、今後、センターにおきましては、相談者の置かれている状況や、幅広い年代の方々が少しでも相談しやすい環境を整備するため、メールやSNSなどを活用した多様な相談対応について検討することとしております。
中野渡しほ
ぜひとも、SNSも含めた取組をよろしくお願いいたします。
中野渡しほ
⑶広報の方法について
困難な問題を抱える女性からの相談は、例えば家族関係や友人関係、職場での悩み、近所付き合い、金銭トラブル、また、ブランド品など高価な買い物、最近ではホストクラブでの高額な売掛金による返済のトラブルなど、実に様々な問題が考えられます。
また、性自認の問題もあります。こうした問題も相談の対象となる旨、周知をしていく必要があると考えますが、どのように対応していくのか、伺います。
和田 子ども家庭支援課長
女性が抱える困難な問題に関する周知についてでございますが、今年4月に施行される困難女性支援法におきましては、困難な問題を抱える女性とは、日常生活または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性と定義されており、DVなどの暴力的な被害などのほか、生活困窮、性暴力や性犯罪被害、家庭関係破綻など、様々な問題が該当すると認識しているところでございます。
道といたしましては、今後、一般の方が分かりやすい具体的な事例などを道のホームページやリーフレットなどに記載して、実際に御自身が困難な状況にあり、支援の対象であるということを認識していただけるよう、周知に努めてまいります。
中野渡しほ
ありがとうございます。当事者御自身が、相談に一歩踏み出せるような方法にしていくとともに、また、私たち道民みんなにとっても困難な状況にある方に気づいたり、日頃からの声かけや見守りを行う意識啓発にもつながるような方法をお願いをしたいと思います。
中野渡しほ
⑷今後の取組について
最後に、伺います。今回示された計画案には、様々な支援内容が盛り込まれておりますが、いずれも大変重要な取組であり、しっかり取り組んでいただきたいと考えております。
女性が抱える様々な困難な問題に対し、道として今後どのように取り組んでいくのか、最後に推進監の決意を伺います。
野澤 保健福祉部子ども応援社会推進監
今後の取組についてでございますが、本年4月施行のいわゆる困難女性支援法は、様々な困難な問題を抱える女性への相談から保護・自立までを包括的に支援する枠組みを再構築するもので、現在道では、新たな支援計画を策定しているところでございます。
道では、これまでも道立女性相談援助センターを中心に、関係機関と連携しながら、DV被害など困難な問題を抱える女性への支援に取り組んできており、今後は、来年度設置予定の支援調整会議において、関係機関との情報共有や連携などの強化を図るとともに、道立女性相談援助センターでの相談対応や広報の在り方について検討を行うことなどを含め、新たな基本計画に基づく各種施策が着実に実施されるよう取組を進め、女性の人権が尊重され、安心して、かつ、自立して暮らすことのできる社会の実現に向けて、オール北海道で取り組んでまいります。
保育士の離職防止対策について
中野渡しほ
私からは、保育士の離職防止対策について伺います。
前回は、国におけるこども未来戦略について伺いました。特に、病児保育、医療的ケア児、こども誰でも通園制度など、道としての今後の新たな取組や拡充施策について伺ってまいりました。
それら全てに共通した重大な課題が、保育士不足であるわけですが、前回の質問では、道がこのたび関係機関が集まって意見交換をする勉強会を初めて立ち上げ、第1回目が開催され、特に離職防止の取組が重要との意見があったと、推進監から御答弁をいただきました。
この勉強会は、月1回程度の頻度で7月頃まで開催をしていく予定と伺っておりますけれども、こども未来戦略の動きに応じた体制整備を急がなければならない道の状況において、一回一回の勉強会の成果を即座に精査をし、必要なことに取り組んでいくことが、勉強会開催の意義でもあります。また、御意見に対しすぐに委員会として回答を返していくことは、勉強会を活性化させていくことにもつながると考えます。そこで、保育所の離職防止対策について伺います。
中野渡しほ
⑴道における保育士の就職率と離職の主な原因について
まず、全国と比較しての道内の直近の保育士の離職率と、離職に至った主な要因について伺います。また、保育士の男女比率についても併せて伺います。
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
保育士の離職率と離職の要因についてでありますが、令和4年の国の社会福祉施設等調査を基に試算しますと、道内の保育士と保育教諭の離職率は8.7%であり、全国の8.6%と同程度の水準です。
また、令和4年の国の厚生労働白書によりますと、保育士として就業された方が離職した主な理由は、職場の人間関係、給料が安い、仕事量が多い、労働時間が長いといった勤務環境によるものが多いところです。
道内の保育士の男女比率につきましては、昨年10月時点の保育士登録の状況によりますと、男性が6%、女性が94%となっているところです。
中野渡しほ
⑵これまでの道の離職対策と課題について
ありがとうございます。今回の勉強会で離職という課題が挙げられたということは、これまでの道の取組が保育士さんたちに行き渡っていない、あるいは不十分であった可能性も考えられるわけですが、これまでの道としての取組と課題について伺います。
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
離職防止対策についてでありますが、国はこれまで、保育の受皿整備に見合う保育士を確保するため、平成25年度に処遇改善加算を創設し、賃金改善を図ってきており、道では、市町村と連携しながら、この加算の取得促進を働きかけてきたほか、保育士の業務負担軽減のためのICTの導入など、勤務環境改善に向けた補助事業の活用を促してきたところです。
さらに、今年度、国の補正予算により人事院勧告を踏まえた公定価格の人件費改定が行われるなど、保育士の平均賃金は徐々に改善が図られているところでありますが、平均所得は全産業の平均所得に比べ、依然として低い状況にありますほか、ICTに対する抵抗感や苦手意識から導入が進んでいない施設もあるなど、保育士の離職を防止するためには、さらなる賃金水準や勤務環境の改善が必要であると認識しております。
中野渡しほ
先ほど、北海道保育団体連絡会が要請に来られましたが、今の御答弁内容と同様、保育士の賃金の引上げと労働条件の改善を国に求めるよう、訴えておりました。ぜひ、よろしくお願いいたします。
中野渡しほ
⑶保育士の相談支援の必要性について
離職防止のためには、保育士の個々の悩みや負担を軽減することが重要であり、忙しい保育士が利用しやすいワンストップの相談支援体制整備が対策として求められていると考えております。
先ほど、保育士は女性の比率が9割以上との御答弁がございました。あらゆる年代のあらゆる女性の相談に適切に対応する機関として、道立女性相談援助センターが機能しているわけでありますが、このセンターの積極的な利用を進め、現在、勉強会に参加されている専門機関にもバックアップしていただきたい。保育士の相談対応というのは、保育所内の様子が最もよく把握できる機会でもあります。専門家が関わる保育環境の改善は、保育者が働きやすくなるばかりでなく、子どもたちの健全な保育を守り、子どもや家庭問題の早期発見、対応にもつながる場合もあります。保育士に特有の相談対応を積み上げながら、男性も含め、全ての乳幼児教育に携わる保育者の相談支援体制を整備していくべきと考えますが、所見を伺います。
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
保育士への支援についてでありますが、道立女性相談援助センターでは、女性の抱える様々な問題の相談に応じ、市町村など関係機関と連携しながら、援助を必要とする女性の自立をサポートしているところです。
道としましては、このセンターの機能を踏まえつつ、効果的な相談支援の方策について、保育団体や労働局などを参集した勉強会の場などを活用し、さらに検討を進めるとともに、保育士の勤務環境が改善され、離職防止につながるよう、現在取りまとめている保育士等実態調査の結果なども踏まえつつ、現場の保育士の声を伺い、抱える課題の解決に向け、取り組んでまいります。
中野渡しほ
⑷保育士業務のICT化について
それでは次に、保育所業務のICT化について伺います。
保育所では、通常の子どもの保育以外にも、保育に関する計画や記録、保護者との連絡など様々な業務があります。さらに卒入園などの時期には、外部対応に追われ、保育士の負担となっている場合があります。
こども家庭庁では、保育士の業務負担を軽減するため、保育所のICT導入や保育現場でのDXの推進について検討を進めることを明らかにしておりますが、道の所見を伺います。
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長 保育所業務のICT化などについてでありますが、保育施設では、子どもの保育のほかに、保育記録の作成、出欠管理、保護者への連絡帳記入など、手書きやアナログの業務が保育士の仕事量の多さや労働時間の長さにつながっていると認識しております。
こうした保育の周辺業務や補助業務につきましては、ICT導入や業務支援アプリなどを活用することで、保育士の業務負担軽減を図ることが可能でありますことから、道では、ICTの活用による職場環境改善に向けた補助制度の利用促進などの取組を進めてきたところです。
現在、国では、保育所等におけるICT化推進等事業を拡充し、保育業務にICTを導入する施設を増やすとともに、保育現場でのDXの推進について検討を進めていくこととしており、道としては、こうしたデジタル技術を保育現場に導入することは、保育士の業務負担を軽減しながら、子どもに向き合う時間を増やし、保育の質の向上を図ることにもつながるものと考えております。