(令和6年03月18日)
子ども政策調査特別委員会会議録

質問内容/答弁内容

議案第48号「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案」について

中野渡しほ
⑴ワンストップの相談支援について

 議案第48号第2条中、北海道立女性相談支援センター条例第3条第1号の改正について、困難な問題を抱える女性の立場に立って相談に応ずることとあります。
 それに沿う形で、道立女性相談援助センターがワンストップで支援に当たる旨の答弁を、この委員会でされてきたわけですが、一方で同改正では、相談を行う機関を紹介するという一文があります。相談を求めてきた女性の立場に立って、困難な問題について受け止め、当事者の意向を尊重し、守秘義務を遵守しながらセンターが適切な機関に問い合わせたり要請していく等の働きをしていくことが重要と考えます。
 改めて、センターがどのようにワンストップ機能を果たすのか、伺います。

和田 子ども家庭支援課長 
 道立女性相談援助センターでの支援についてでございますが、センターでは、様々な問題や悩み事を抱える女性の相談に応じ、それぞれの方の状況に応じて、一時保護、自立援助による支援を行うとともに、市町村などの関係機関や民間シェルターと連携し、利用者の意向に沿った支援を行っているところであります。
 今後、新たに設置する支援調整会議におきまして、センターや市町村など行政機関、民間団体との情報共有や個別の支援方法を検討することなどにより、相談者と適切な相談機関をつなぐワンストップでの支援を実現することで、困難な問題を抱えた女性の負担の軽減と効果的な支援の提供を図ってまいります。

中野渡しほ
⑵センターの相談対応や一時保護機能の確保について

 これまでは、暴力などから女性または母子を守る機能を果たしてまいりましたが、今後は広く困難な問題を抱える女性の相談に応じることになります。4月1日から、相談に対応する電話番号や面談をする際の場所はどのようにしていくのか、どのような方が相談対応をしていくのか、伺います。
 また、人の出入りがこれまで以上に増える可能性がありますが、センターの一時保護機能はどのようになるのか、併せて伺います。

和田 子ども家庭支援課長 
 道立女性相談援助センターでの相談対応等についてでございますが、現在、センターに配置しております婦人相談員が、DV被害の相談をはじめ、家庭や健康に関する相談に電話による対応を基本として、センターの相談室で来所による相談も行っており、一時保護を行う場所は、関係者以外が出入りすることのないよう、安全性に配慮しております。
 相談対応を行う職員の名称を女性相談支援員と変更する以外、電話番号及び来所相談、一時保護を行う場所は、4月以降も同様でありますが、困難な問題を抱える女性がより一層相談しやすい環境を整備するため、新たにメールやSNSなどを活用した多様な相談対応を検討することとしております。

議案第49号「北海道児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例等の一部を改正する条例集」について

中野渡しほ
⑴「乳幼児の意見又は意向」について

 条例案に出てくる文言で、乳幼児の意見、または意向という文言がございますが、北海道児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の改正案では、乳児院が子どもの自立支援計画を策定するに当たって、乳幼児の事情に応じ意見聴取その他の措置を講ずることにより、乳幼児の意見または意向等を勘案することとされております。言葉による意思表示が困難な子どもに対する意見または意向をどのように確認し、どのように子どもの人権と安全を守るのか伺います。

山谷 子ども家庭支援課虐待防止対策担当課長 
 乳幼児の意見聴取などについてでありますが、乳児院等の児童福祉施設は、入所児童の人権に十分配慮するとともに、一人一人の人格を尊重して、その運営を行わなければならないこととされており、子どもの人権や安心安全を守るためには、子どもの意見や意向を自立支援計画に反映することも重要と認識しております。
 一方で、乳幼児の中には、言葉の理解や言葉による意見の表出が難しい子どもも多いため、日常的に養育に関わっている保育士などが、絵カードや写真など、言語以外の表現手段や泣き方、表情、しぐさや身ぶり等の反応や行動変化などもつぶさに観察するなどして、子どもの意見等の把握に最大限努める必要があると考えております。道としては、様々な事情で家族と離れて暮らす乳幼児の権利や意見が尊重され、心身ともに健やかに成長できるよう、引き続き、養育環境の向上を図ってまいります。

中野渡しほ
 臨床経験がなければ話せないような大変細やかな描写でありまして、分かりやすく的確な御答弁だと思います。これは障がいのある子どもたちにも通じる大切な関わりであり、コミュニケーションであると思います。

中野渡しほ
⑵心理学的及び精神医学的診査について

 第86条には、児童発達支援センターにおいて障がい児に対して行う心理学的及び精神医学的診査は、児童の福祉に有害な実験にわたってはならないとあります。
 そもそもセンターは実験室ではありませんので、当然のことではありますが、改めて確認をいたします。様々な検査は、専門家が目的と子どもの状況に基づいた適切な検査をまず精査し、子どもの心身の負担にならないよう行われることが重要と考えますが、どのように診査していくのか、病院とセンターとの違いについても、併せて伺います。

和田 子ども家庭支援課長 
 心理学的及び精神医学的診査についてでございますが、児童発達支援センターは、適切な療育を提供するため、障がいのある子どもやその可能性のある子どもの健康状態や発育、発達状態を的確に把握する必要があり、センターに配置する嘱託医や公認心理師資格を有する児童指導員などが、子どもの負担とならないよう十分な配慮の上、発達検査などを行っているところであります。
 また、より専門的な診断が必要な場合には、道立旭川子ども総合療育センターや専門医のいる医療機関への受診を勧めていると承知しております。
 道といたしましては、改正条例の趣旨を事業者に周知し、障がいのあるお子さんの人権に配慮しながら、適切なアセスメントに基づき、必要な療育等を行い、心身の発達を支援していく体制を引き続き整備してまいります。

こどもの意見の反映について

中野渡しほ
 年齢や発達の程度やインクルージョンに配慮をした子どもの意見の反映について、お伺いしたいと思います。
 このたび、子ども向けのパブリックコメントを実施したと承知しております。小学生向けに実施した、空き家施策等についての問いを拝見しました。その上で、質問させていただきます。

中野渡しほ
⑴試行的に行われたパブリックコメントの実施方法と理由等について

 今回のパブリックコメントは試行的なものであるとはいえ、実際に子どもたちが時間をかけて、一生懸命に答えてくださった重要なものであり、今回行われたものは、小学1年生から高校3年生まで同じ内容で、5段階の選択肢から選ばせるものでありました。このような年齢幅の大きい対象者、そして選択をするという実施方法にした理由について、伺います。
 また、今回、実際に使われた、空き家対策の小学1年生も対象とした子ども向けの文面は、次のようなものでありました。北海道空き家等対策に関する取組方針の概要(やさしい版)というタイトルであります。その全ての漢字に振り仮名が振ってありました。そして、注意書きとして、スマホやパソコンで、簡単に手続ができますと書かれておりました。まだパソコン学習前の児童もおります。
 こども基本法第11条、子ども施策に対する子ども等の意見反映には、国及び地方公共団体は、子ども施策を策定し、実施し、及び評価するに当たっては、当該子ども施策の対象となる子どもまたは子どもを養育する者その他の関係者の意見を反映させるために、必要な措置を講ずるものとすると明記されております。また、根底にあります、こども基本法の基本理念には、年齢や発達の程度により、自分に直接関係することに意見を言えたり、社会の様々な活動に参加できることとあります。
 こども基本法に準拠し、学習指導要領も踏まえ、年齢や発達の程度に合うよう、十分に精査する必要があると考えます。今回の実施方法の妥当性についても併せて伺います。

豊吉 子ども政策企画課長 
 子ども向けのパブリックコメントについてでございますが、この取組は、先行する国の事業が小学生以上を対象としていたことや、道のユースプランナー制度に参画する大学生世代の方々には一般向けパブリックコメントでの御意見をお願いしていましたことなどから、今回、小学生から高校生までを対象として実施したところでございます。
 また、実施方法は、国の検討会におきまして、ウェブでのアンケートは、多くの子どもたちからの意見を集めやすい、質問に答える形式は意見を伝えやすいといったメリットがある一方、質問数が多いと回答に負荷がかかるデメリットがあるとの意見が出されていたことから、道の電子申請システムを活用し、短時間で簡単に回答できるよう、質問数を10問程度、選択肢を5択程度とし、全体的な御意見を自由記載でいただくこととして、試行的に実施したところであります。
 このアンケートでは、意見のしやすさについても調査しており、とても分かりづらい、どちらかといえば分かりづらい、分からないとの回答が全体の約2割でありまして、質問数は、10問くらいがよいが半数近くであったものの、5問くらいがよいが約3割であるなど、今後の取組に当たりましては、一層の工夫が必要と考えております。

中野渡しほ
【指摘等】
 更なる工夫をしっかりとやっていただいて、子どもたちが分からない回答を迫るようなことがないよう取り組んでいただきたいと思っております。

中野渡しほ
⑵「こどもの意見反映推進事業」について

 この事業の基になっている法律は、昨年4月に施行されましたこども基本法であり、全ての子どもが対象となっております。
 児童の権利に関する条約の4原則には、全ての子どもは、子ども自身や親の人権や国籍、性、意見、障がい、経済状況など、どんな理由でも差別されず、条約の定める全ての権利が保障されますとあります。
 先ほど質疑をいたしました条例案第27の3には、障がい児の地域社会への参加及び包摂の推進に努めなければならない、同条第5項には、障がい児の意見が尊重され、その最善利益が優先して考慮される体制を確保とあります。また、言葉の理解や言葉による意見の表出が難しい子どもについて、絵カードや写真など、言語以外の表現手段や表情、しぐさや身ぶり等の把握に最大限努める必要があるとの御答弁も、先ほどいただいたところでございます。
 医療的ケアを必要としている子どもたちがおります。この子どもたちの意見が反映されることは、大変重要であります。また、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどのある子どもたちは、バリアフリー施策の先生のような存在であります。知的障がいのある子どもたちは、結構おしゃべりですし、手話で伝えられる聴覚障がいのある子どももいます。視覚障がいのある子どもも、しっかりとした意見を持っています。こどもの意見反映推進事業には、障がいのある子どもたちも参加ができるようにしていくべきと考えます。所見を伺います。

豊吉 子ども政策企画課長 
 こどもの意見反映推進事業についてでございますが、この事業は、道の様々な分野の施策をテーマとし、全道の子どもたちから、インターネットを活用して幅広く御意見を伺うほか、それを具体化して施策に反映できるよう、地域に出向き、子どもたちと直接対話することとしております。
 こうした中、国の有識者会議では、子どもの意見反映のためのガイドラインの策定に向けた議論が進められており、障がいのある子どもなど、声を聞かれにくい子ども、若者がいることを理解し、その声を政策に生かすための努力や合理的配慮をすることが必要であるとしております。
 道といたしましては、こうした国の議論を注視しつつ、今後、子どもの未来づくり審議会におきまして、効果的で実効性のある事業となるよう検討を進め、全ての子どもに意見を表明する機会が提供できるよう、取り組んでまいります。

中野渡しほ
⑶今後について

 子どもの意見の反映は、年齢や発達の程度に配慮し、またインクルージョンの観点を踏まえながら進められることが重要と考えます。
 道として、今後どのように取り組むのか、所見を伺います。

野澤 保健福祉部子ども応援社会推進監 
 今後の対応についてでございますが、本道の未来を担う子どもたちの意見を道政に反映していくためには、障がいのある子どもなど、声を上げにくい子どもたちを含め、全ての子どもが自らの意見を持ち、それを表明することができるようにしていくことが重要であると考えております。
 道といたしましては、こうした考えの下、今後、子どもたちが積極的に意見を言える環境をつくることはもとより、安心して意見が言えるよう、国のガイドラインのほか、保護者や関係者の声などを踏まえて様々な工夫をするほか、広く道民の皆様に対して、子どもの意見表明に関する機運の醸成を図っていく考えでございます。
 また、試行的に実施いたしました子ども向けパブリックコメントや、来年度、新たに行う意見反映事業につきましては、子どもの年齢や発達等に配慮しつつ、効果的で実効性のあるものとなるよう、子どもの未来づくり審議会で委員の皆様から御意見を伺いながら、子どもたちの権利が守られ、意見の尊重や表明しやすい環境づくりに取り組んでまいります。

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