(令和5年06月21日)
子ども政策調査特別委員会会議録

質問内容/答弁内容

困難を抱える若年妊産婦への支援について

中野渡しほ
⑴妊娠相談事業の状況について

 困難を抱える若年妊産婦への支援についてお伺いいたします。
 予期せぬ妊娠などにより、悩みや不安を抱えた若年妊婦などが必要な支援を受けられるよう、相談体制の充実を図るべきと考えます。
 道では昨年12月に、にんしんSOSほっかいどうサポートセンターを開設したところと承知しております。相談件数や相談者の傾向について、お伺いいたします。
 また、窓口の存在や取組を知ってもらうために、その周知が重要と考えますが、どのような周知を行ってきたのか伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長 
 にんしんSOSほっかいどうサポートセンターについてでありますが、このセンターは、道や市町村が行う妊娠相談体制を強化するため、夜間や休日における相談対応を社会福祉法人麦の子会に委託して実施しており、昨年12月の開設から今年5月末までの6か月間で、延べ601件の相談を受けているところです。
 相談者は、予期せぬ妊娠などで孤立した若年妊婦など、10代後半から20代前半の年代が中心となっており、道ではこのセンターを周知するため、SNSの活用や市町村を通じた周知のほか、若い世代が手に取りやすいよう、学校等の教育機関、医療機関、ドラッグストアでの名刺サイズのカードの配付、街頭ビジョンを活用した啓発活動、相談従事者等を対象とした研修会など、様々な場を活用しながら幅広い周知に努めてきたところであり、引き続きこうした取組を行いながら、センターの周知と利用促進に努めてまいります。

中野渡しほ
 平均すると1か月で100件という、不安を抱えた20歳前後の非常に多くの女性を受け止めていただいている貴い事業に感謝を申し上げたいと思います。
 また、かねてから意見交換の場などでも、教育機関で周知をと私からも求めておりましたけれども、幅広い周知を行っていただき、そのことが相談者の増加につながっているものと考えます。本当にありがとうございます。

中野渡しほ
⑵相談体制について

 この相談事業は、行政機関が開いていない夜間休日の相談を対象としておりますが、若年妊産婦の方々は複雑な問題を抱え、行政機関へ相談できずにいる方も多いと伺っております。
 さらに相談しやすくする対応が必要と考えますが、道の考えを伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
 相談体制についてでありますが、サポートセンターが対応した相談者の中には、行政機関に抵抗感やハードルの高さを感じている方がおられ、経済的な困窮等で健診が未受診のままであった事例や、様々な悩みを抱え孤立し、相談できずにいた方がいると伺っており、サポートセンターに比べ、道の保健所の相談窓口への相談件数は少ない状況です。

 こうした中、サポートセンターにおきましては多くの様々な相談に対応していることから、今後、課題を整理し、検討を行ってまいる考えでございます。
 道といたしましては、相談者に気軽に相談窓口を利用していただけるよう、一層の周知を行い、相談体制の充実に取り組んでまいります。

中野渡しほ
【指摘】
 にんしんSOSほっかいどうサポートセンターの方々と意見交換を行いましたが、現在、夜間休日だけの委託事業となっておりますが、実際には、平日の日中にも多くの相談が寄せられ、一件一件時間をかけて丁寧に対応されているそうです。
 平日の日中は、本来、別の業務があるわけなのですが、兼務ができなくなってきているほどの状況にあるそうです。相談対応の職員のほかに、妊婦さんを病院に連れて行くなど、専属職員を最低でも2名配置するべきであるということと、現実に合わせて、全日の相談事業としていくべきであると指摘をしておきます。

中野渡しほ
⑶居場所支援について

 相談事業の受託先の社会福祉法人麦の子会では、相談事業とは別に、リリアという名称で独自に住居の確保が困難な妊産婦に居住スペースを提供し、出産や産後の生活に向けた居場所支援を行っています。
 道のサポートセンターでの相談後においても、このような継続した支援が必要と考えますが、道の考えを伺います。
 道のサポートセンターの方がおっしゃっておりましたけれども、この相談事業によって守られた子どもの命と若い母親を守り抜くためにも、母子が安心して生活していける、さらなる居場所支援をお願いします。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
  相談支援についてでありますが、困難を抱える若年妊婦等は、経済的な困窮やDVなどの問題が複雑に絡み合っている方が多く、住居の確保が困難な方への支援につきましては、女性相談援助センターなどの関係機関や民間団体が開設する受入れ施設と連携し、適切な支援につなげられるよう、受入れ体制の確保を図り、今後とも個々の相談者の事情に寄り添いながら、継続的に支援に努めてまいります。

中野渡しほ
⑷今後について

 困難を抱える若年妊産婦の方々への相談や居場所等の支援は、市町村をはじめ、関係機関や民間の支援機関等が連携を図りながら支援を行うことが必要と考えますが、相談者は札幌市に住んでおられる方も多いと伺っております。札幌市との連携についても必要であると考えます。
 今後、困難を抱える若年妊産婦の方々への支援について、どのように取り組んでいくのか、道の考えを伺います。

東 子ども政策局長 
 今後の取組についてでございますが、にんしんSOSほっかいどうサポートセンターは、札幌市を含め、全道域で相談に応じているところでありまして、特に件数が多い札幌市との連携は重要であると考えております。
 札幌市とは、これまでも意見交換の場を設けるなど情報共有を密にしながら、相談者の個別支援等について対応してきておりますが、若年妊産婦の方々への支援の在り方について協議するなど、今後一層、連携して取り組んでいく考えでございます。
 道といたしましては、今後とも、札幌市をはじめとした市町村や関係機関、民間の支援団体等と連携しながら、地域での相談機能の充実を図るなどして、若年妊産婦の方々の様々な状況に寄り添った支援を行い、安心して子どもを生み育てることができる環境づくりを進めてまいります。

中野渡しほ
【指摘】
 SACRACH(さくらこ)という性暴力被害者支援センターが、北海道にあります。ここは札幌市と北海道が共同で運営する公的相談支援であります。SACRACH(さくらこ)とにんしんSOSほっかいどうサポートセンター、リリアは現在、連携して機能しております。札幌市と協議をしていくとの御答弁をいただきましたが、にんしんSOSほっかいどうサポートセンターもリリアも、SACRACH(さくらこ)と同様に道と市の共同運営とすべきであり、職員の配置や勤務体制を適正化すべきと指摘をさせていただきます。
 また、リリアは日本財団の基金を使って運営されておりますが、今年度いっぱいで期限が切れます。
 若年妊産婦の居場所の確保のために、来年度からリリアに予算をつけていくよう、重ねて指摘し、質問を終わります。

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