(令和5年07月13日)
子ども政策調査特別委員会会議録

質問内容/答弁内容

産後ケアについて

中野渡しほ
⑴産後ケアに対する道の認識とこれまでの取組について

 近年、少子化、核家族化、地域のつながりの希薄化など、出産、子育てをめぐる環境の変化が進む中、妊娠、出産、子育てに関わる不安や負担等を抱える妊産婦は増えており、産後の育児を家庭だけに任せるのではなく、孤立させないように地域で支援をしていくことが重要と考えます。
 このような状況から、産後ケアに対する道の認識とこれまでの取組について伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
 産後ケアについてでありますが、産後の育児に不安や孤立感を抱く方がいる中、育児を家庭のみではなく、生活している地域全体で様々な支援を行う、いわゆる産後ケアは、重要な施策と認識しております。

 このため、国は、母子保健法に産後ケア事業を位置づけ、市町村が実施主体となり、出産後1年以内の母子に対し、医療機関の空きベッドを活用して宿泊により休養の機会を提供する宿泊型、施設で来所者に支援するデイサービス型、利用者の自宅に赴き支援するアウトリーチ型といった事業を努力義務として定めたところです。
 道ではこれまで、市町村に対し、この事業の実施方法や委託先などを調査し、情報提供するとともに、市町村や産科医療機関の専門職等を対象に、産後ケアへの理解をより深めるための研修会を開催するなど、事業の取組の促進に努めてきたほか、道立保健所が中心となり、市町村と委託先医療機関との調整を行うなど、実施体制の整備に向け、支援を実施してきたところです。

中野渡しほ
⑵道内市町村の実施状況と課題について

 孤立しがちな母子を支援するためには、産後の支援を充実させることが大切であり、全ての市町村で産後ケア事業が実施されることが重要と考えますが、道内の市町村の実施状況についてお伺いいたします。
 また、国の研究事業において実態調査が行われたと承知しております。実態調査の結果と課題について伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
 市町村における実施状況についてでありますが、令和5年4月1日時点で、151市町村が産後ケア事業を実施しており、昨年度から22市町村が増加したところです。

 産後ケアに取り組む市町村は着実に増加しているものの、令和4年度に国が研究事業として行った実態調査では、市町村が事業を実施する上での課題として、委託先の確保が全国及び北海道のいずれにおいても最も多く、道の独自調査においても、身近に医療機関などの委託先がない、専門職が不足している、出生数が少なく事業化が困難などの課題を抱えており、未実施となっている市町村もあるところです。

中野渡しほ
⑶医療機関での産後ケア実施について

 委託先の確保が課題とのことでございますけれども、性暴力被害者支援センター北海道SACRACH(さくらこ)と提携病院となっている医療機関においては、予期しない妊娠などにより出産をした母親の中には、出産後もサポートが必要な方がおり、継続的に入院しながら産後ケアを提供しております。母子ともに心身が安定し、自宅に戻ることができると医療機関から伺っております。
 性暴力被害者支援センター北海道SACRACH(さくらこ)と提携または協力病院となっている医療機関にも協力をしてもらい、委託を進めていく必要があると思いますが、道としての考えを伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
  委託先の確保についてでありますが、性暴力の被害に遭った方に対する相談、医療支援等をワンストップで行うため、道と札幌市が共同運営している公的相談窓口である性暴力被害者支援センター北海道SACRACH(さくらこ)では、1か所の提携医療機関と61か所の協力医療機関を確保しており、そのうち14医療機関が市町村における産後ケア事業の委託も受けているところです。

 産後ケアに取り組む病院では、複数の診療科の専門職が、精神的に不安定な母親に関わり、早期の安定につなげた事例や、育児に不安を感じる母親と子どもを同じ部屋で、夜間も含め支援した助産所の事例などがあり、産後ケア事業の実施に当たっては、委託先の確保が課題でありますことから、道としましては、性暴力被害者支援センター北海道SACRACH(さくらこ)の提携医療機関や協力医療機関等における取組事例を含め、産後ケア事業が未実施の市町村及び医療機関へ積極的に情報提供するなど、全ての市町村で産後ケア事業が実施されるよう、効果的な事業の実施に向けて支援してまいります。

中野渡しほ
⑷今後の対応について

 産後ケア事業を実施する上での課題に対して、道内の産後ケア事業の実施を促進するため、道では、今後、どのように取り組んでいくのか伺います。

野澤 保健福祉部子ども応援社会推進監
  今後の取組についてでございますが、産後の育児への不安や孤立感を抱える母親に対し、身体的、精神的に支える産後ケアは、その家庭のみならず、生活している地域で様々な支援を行うことが必要であり、その環境を整備することが大変重要であると認識しております。

 こうした中、国が先般取りまとめたこども未来戦略方針では、産後ケア事業は、子育て家庭の産前産後の心身の負担軽減を図る観点から、実施体制の強化等を行うこととされております。
 道としても、これまで産後ケア体制の整備を図るため、事業の実施主体である市町村に対し、各種会議や研修会等を通じまして、産後ケアを必要とする方の利用促進や産後ケア事業の未実施の市町村に対し、好事例の紹介、複数市町村による広域的な実施体制の構築を働きかけてきたところであり、一層の推進に向け、取組を着実に行ってまいります。
 今後とも、こうした取組に加えまして、各地域における産後ケアの取組が促進されるよう、国に対し、課題となっている専門人材の確保や事業運営を円滑に進めるための財政措置の充実を強く働きかけるなどして、安心して出産、子育てができる環境づくりを進めてまいります。

中野渡しほ
 昨日、白老町に行ってきたのですけれども、せっかくなので産後ケアをされている場所も教えていただいて、伺ってまいりました。
 そこでは、助産師さんを採用されていました。赤ちゃん連れのお母さんが何人も来ているそうです。そこで赤ちゃんを見ていただきながら、スタッフが作った御飯をゆったりと食べるそうです。そして、育児の相談も受け、腰が痛いと言えば骨盤体操をみんなで一緒にやったりと、心身ともにサポートされている様子をいろいろとお伺いしました。
 この場所で産後ケアがなされていることは周知されておりますが、産後ケア事業があって予算があるということも、道として委託先を探しているということも、そのスタッフも白老町民も知りませんでした。スタッフの方は制度があるのでしたらぜひ委託を受けたい、そして適切な産後ケアをより一層充実させたいというお話をされておりました。
 先ほど例に挙げましたSACRACH(さくらこ)と提携している医療機関においても産後ケアが行われておりますけれども、同様にまだ制度は使われておりません。より一層丁寧な周知が必要であると感じております。その点、どうかよろしくお願いいたします。

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