

妊婦・乳幼児検診について
中野渡しほ
⑴妊婦健診について
1.実施状況について
妊婦及び乳幼児検診についてお伺いいたします。
まず、妊婦健診は、妊婦の心身の不調などに早期に対応し、安全安心な出産や母子にとって重要なものでありますが、道内は、産科医療機関が偏在している状況にあります。産科医療機関までの距離が遠い地域にお住まいの妊婦の方々について、必要な妊婦健診の検査内容等を受けることができているのか、伺います。
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
妊婦健診の実施状況についてでありますが、道内では、135市町村において産科医療機関のない状況となっておりますが、妊産婦健康診査は、国が推奨する検査項目を設定しており、道では、それらの検査が適切に受けられるよう、道内の176市町村の代理人として北海道医師会、北海道助産師会、国立病院等と協定を締結し、どの医療機関で健診を受けても等しく必要な検査が受けられる体制を整備しているところです。
また、産科医療機関が偏在する中、その距離が遠い地域に住む妊婦の方々の一助となるよう、市町村と協働しながら健診の際に必要な交通費や宿泊費の助成を行い、経済的負担の軽減も図っているところです。
中野渡しほ
道内135市町村において、産科医療機関がない状況をカバーする体制づくりや健診制度の確保に努めていることが分かりました。
中野渡しほ
2.妊婦の歯の健康管理について
次に、妊婦の健診で見落としがちな妊婦の歯の健康管理についてお伺いいたします。
妊娠中は、つわりなどの体調の変化で丁寧な歯磨きが難しくなる方が多くいらっしゃいます。歯磨きの匂いが苦手であるとか、歯ブラシを口に入れただけで吐き気を誘発するなどの症状を持つ方もいらっしゃいます。ホルモンバランスや食生活も変化するため、歯周病や虫歯が進行しやすい時期とされております。
妊婦の歯の健康管理の指導や歯科健診が必要であり、重要と考えますが、妊婦の歯科健診受診率と健診受診費の助成を行っている道内市町村数について伺います。
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
妊婦の歯の健康管理についてでありますが、市町村では、保健師等が母子健康手帳を活用しながら日常の口腔ケアの重要性についての注意喚起や保健指導を行うとともに、必要に応じ、歯科健診を推奨しているところです。
本道における令和2年度の妊婦の歯科健診受診率は4.9%で、健診受診費の助成を行っている市町村数は55となっております。
妊娠中は、歯周病等のリスクが高まり、早産等との関連も指摘されていますことから、妊婦が自らの歯・口腔の健康状態に気づき、歯周病等の予防に取り組むきっかけをつくることが必要であると考えておりまして、道としましては、今後とも市町村に対し、母子保健関係職員の研修の場などを通じて、保健師等による保健指導により妊婦の歯の健康管理が適切に行われるよう、働きかけてまいります。
中野渡しほ
【指摘】
妊婦の歯科健診の受診率が4.9%と大変低い状況になっていることが分かりました。
そして、受診の助成は55市町村にとどまっているとのことでありますが、安全安心な出産のためには、歯周病予防も大変重要とのことでありますので、歯科健診受診の助成の拡大をしていくよう指摘します。
中野渡しほ
⑵乳幼児検診について
1.就学前の検診について
乳幼児検診は、疾病等の早期の発見や発達に見合った適切な育児に関する指導を受ける機会になるなど、乳幼児の健康の保持及び増進を図ることを目的とする重要な健診であります。
1歳6か月健診及び3歳児健診の受診率は高いと承知しておりますが、3歳児健診以降、就学前までの法定健診はなく、その間の健診も重要と考えますが、実施状況について伺います。
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
就学前の健診についてでありますが、国は、3歳児健診以降の就学前までの健診について、乳幼児の健康の保持増進、身体的発育及び精神的発達等の確認のため、市町村が必要に応じて実施する健診として位置づけています。
道内では、39市町村において4歳から6歳までの間の健診を実施しており、他の市町村においても、家庭訪問や個別相談等により専門医療機関等との連携を図りながら、就学前までの必要な支援を継続して実施しているところです。
道では、今後とも市町村による4歳児以降の乳幼児健診についても実施状況の把握を行うとともに、その情報共有を図りながら、それぞれの市町村において適切な支援が実施されるよう、啓発や助言等を行ってまいります。
中野渡しほ
ぜひ、よろしくお願いいたします。
中野渡しほ
2.保育所等における療育支援加算について
専門医療機関との連携を図るとのことでありますが、先般、委員の皆様と一緒に、厚沢部町のこども園はぜるを視察させていただきました。
その際、保護者によっては、専門医療機関等の受診を望まない方もいるという状況と、その一方で、園において専門医の診断を受けず、児童相談所の判定も受けず、療育手帳等の交付を受けていない、しかしながら発達に課題があり、手厚いサポートを必要としている子どもが増えているとの先生の声をお伺いしました。
こうした子どもたちにも、細やかな支援が必要と認識しておりますが、先生方の負担が大きくなります。保育所等では、どのように対応しているのか伺います。
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
保育所等での対応についてでありますが、専門医療機関等の診断は受けていないが、巡回支援専門員等が発達的に療育が必要と判断した乳幼児等を受け入れ、保育士等を加配し、対象となる子どもの療育支援に取り組む保育所等においては、市町村の認定を受けて療育支援加算が適用されているところです。
この加算の適用対象となる子どもは、市町村が認める障がい児としておりまして、療育手帳等の交付の有無は問わないとされておりますが、市町村によっては療育手帳等の公的な証明書類の提示等を要件としているところもありますことから、道としましては、本年5月に国から示された留意事項を市町村に通知するとともに、7月に改めて制度の柔軟な運用について周知を図ったところであり、今後とも保育所等において加算制度が活用され、適切な療育支援につながるよう、取り組んでまいります。
中野渡しほ
【指摘】
この療育支援加算制度は、私立の園に適用されておりまして、公立は自治体の予算を使って加配人材の確保をしていくしかない状況にあります。公立の園に対しても、適用対象を拡大すべきと指摘をいたします。
中野渡しほ
3.乳幼児の弱視等の早期発見について
乳幼児期の弱視等の早期発見についてお伺いいたします。新生児の視覚は、生後、急速に発達します。早期に弱視等を発見し、治療をすることが重要であります。そのため、乳幼児健診において、弱視等の発見に有効とされている屈折検査機器の導入が必要と考えますが、道内市町村の導入状況と道の見解を伺います。
中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
乳幼児期の弱視等の早期発見についてでありますが、乳幼児期の弱視などは、適切な治療を早期に行うことで予後も良好とされており、道ではこれまで、市町村に対し、家庭での視力検査の啓発や3歳児健診時の視力検査の着実な実施、必要に応じた専門医療機関への受診勧奨などを助言してきたところです。
こうした中、国では、屈折検査機器による検査が弱視等の発見に有効であるとし、令和4年度から機器整備のための補助事業を開始したところであり、道内では、同年度に83市町村が導入し、3歳児健診における視覚検査で活用しており、本年度中には新たに44市町村で導入が予定されています。
道としましては、今後とも、乳幼児期における弱視等の早期発見や早期治療に結びつけることができるよう、市町村に対し、検査機器の活用効果の情報発信、補助制度の周知などにより積極的な導入を促すなど、地域における検査体制の充実を支援してまいります。
中野渡しほ
ぜひ、よろしくお願いいたします。
中野渡しほ
⑶.今後の母子保健の取組について
乳幼児期は、自己の興味や関心に基づく直接的、具体的な体験を通して心身の発育発達が促され、生涯にわたる人格形成の基礎が培われる重要な時期と考えます。
令和3年度に内閣府が行ったインターネット利用環境実態の調査によりますと、2歳児の62%がインターネットで動画を見ており、その45%が平日1日2時間以上利用しているとの結果でありました。医師会の小児科の先生も、待合室や診察時にもスマートフォンを離せないお子さんが増えている様子を危惧されておりました。このような育児中の親のスマートフォン等の利用なども含めまして、出産前から、例えば父親や母親教室など、早い段階から働きかけを行うなどの対策が必要と考えます。
全ての子どもが健やかに育っていける環境づくりに向けて、今後、道はどのように取り組んでいくのか伺います。
野澤 保健福祉部子ども応援社会推進監
今後の取組についてでありますが、乳幼児期における身体的、知的、情緒的な発達には、様々な遊びや体験をはじめ、家族などとの触れ合いの機会等を確保していくことが重要であると認識しております。
こうした考えの下、市町村では、乳幼児健診の場などを通じて保護者に対し、乳幼児への電子メディアの利用について注意喚起を行うとともに、医師や保健師が必要に応じて相談指導を行っておりますが、現場の保健師からは、親が仕事や家事等に忙しく、テレビやスマートフォンを子に制限なく見せることで親子の会話が少なくなっている状況が見られ、長時間の視聴の弊害を感じているといったお話も伺っているところでございます。
道といたしましては、市町村の保健師等を対象とした研修会などにおきまして、乳幼児健診の場に限らず、出産前の両親を対象とした健康教育などにおきましても、適切な電子メディアの利用方法などの啓発等を行うよう働きかけるとともに、安心して利用できる遊び場の整備などに努め、豊かな自然環境を感じながら子どもたちが健やかに成長ができる環境づくりを進めてまいります。