(令和5年09月11日)
子ども政策調査特別委員会会議録

質問内容/答弁内容

自走福祉施設等における熱中症対策について

中野渡しほ
 私からは、児童福祉施設等に対する熱中症対策についてお伺いいたします。
 今年の夏は、全国的に猛暑日が続きましたが、本道では、気温30度Cを超える真夏日が40日以上続き、全道域で熱中症警戒アラートが発表されるなど、かつてないほどの記録的な暑さに見舞われました。
 先般8月には、伊達市内の小学2年生の女の子が熱中症と見られる症状で亡くなられるなど、大変痛ましい事案が発生いたしております。また、道内の一部の小中学校では、熱中症の危険性が極めて高いとして、臨時休校や繰上げ下校の措置を取るなど、猛暑による子どもたちへの影響は非常に大きなものとなっております。
 厳しい暑さから子どもたちの命、健康を守ること、その対策をしっかり取ることは、大変重要と考えております。そうした観点から、特に配慮を必要とする児童福祉施設等における子どもの熱中症対策について、以下伺ってまいります。

中野渡しほ
⑴道の認識について
 熱中症のリスクが高い子どもたちが利用する児童福祉施設などでは、連日の猛暑により、子どもの健康が脅かされ、対策を求める声も多くなっていると伺っている状況でございます。児童福祉施設などでは、子どもの安全を守るため、子どもの健康管理などが大変重要になります。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長 
 子どもの熱中症対策についてでありますが、このたび、道内で発生しました熱中症と見られる症状で亡くなられるという、大変痛ましい事案を深刻に受け止めているところです。
 子どもは、体温調節機能が未発達であり、体に熱が籠もりやすく、体温が上昇しやすいほか、大人に比べて気温や地面からの照り返しなど環境の影響を強く受けやすい特徴があり、熱中症の発生リスクが高く、道内の子どもが利用する施設等への冷房設備の整備を求める声も伺っているところです。
 特に乳幼児や障がいがある子どもは、体に異変が起きていても気づくことが難しく、自分自身の体調の変化を訴えられないこともあります。
 このため、利用する施設等における空調や換気等による室温調節などの環境整備のほか、小まめな水分補給、周囲の大人が常に子どもの健康状態を丁寧に確認するなど、個々の特性や発達段階に応じた熱中症の対策が大変重要と認識しております

中野渡しほ
⑵支援制度について
 連日の猛暑により、保育所や障害児入所施設、母子生活支援施設などの児童福祉施設及び放課後等デイサービスや託児所などの関係者から、子どもたちが安全に過ごすためにはエアコンが必要との声が多く聞かれております。熱中症のリスクが高く、配慮が必要な子どもたちが利用する児童福祉施設は、冷房設備の設置に対する支援が必要だと考えますが、そうした支援制度があるのでしょうか。また、あるとすればどのような支援制度なのか伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長 
 支援制度についてでありますが、国は、児童福祉施設等のうち、認可保育所や認定こども園につきましては、就学前教育・保育施設整備交付金や保育対策総合支援事業費補助金の制度を設けておりまして、冷暖房設備の整備に対する必要な経費について支援が可能となっているところです。
 また、その他の児童館や放課後児童クラブ、障害児入所施設、母子生活支援施設などにつきましては、施設の新設や改修時において、天井等と一体となった埋込型の設備を整備する場合に、次世代育成支援対策施設整備交付金等の制度を活用することができますが、壁かけ型の小型設備を設置する場合は、対象外とされているところです。

中野渡しほ
⑶今後の取組について
 最後の質問をさせていただきますけれども、全国的に9月に入ってもなお、例年を上回る気温の高い日が続いております。地球温暖化など近年の状況を踏まえますと、本道では、来年の夏も気温の高い日が続くと予想されます。子どもたちへの影響が心配されるところであります。こうした状況の中で、道では、児童福祉施設等を利用する障がいのある子どもを含む全ての子どもたちの命と健康を守るために、子どもの熱中症対策について今後どのような取組を進めていくのか、最後に伺います。

野澤 保健福祉部子ども応援社会推進監 
 今後の取組についてでございますが、道では、これまでも保育施設等に対し、室温調節など適切な環境の整備や子どもの安全に関するマニュアルの策定など、熱中症などの事故の未然防止に必要な対策を講じるよう、周知を図ってきたところでございます。
 また、国が発表する熱中症警戒アラートにつきましては、速やかに該当する地域の市町村を通じ、施設への注意喚起を行うほか、施設の運営指導時には、子どもの健康に関し、管理や記録が適切であるかなどを確認し、必要な指導や助言を行っているところでございます。
 道といたしましては、今後ともこうした取組はもとより、来年以降も猛暑となることが見込まれる中、児童福祉施設等に運営指導の場などを通じまして、冷房設備の設置や健康管理の状況について把握し、各種支援制度の活用を促すとともに、補助制度の拡充について国に要望するなどしながら、市町村とも連携し、施設等を利用する子どもたちの生命と健康を守るため、熱中症対策に万全を期してまいります。

中野渡しほ
【指摘】
 大変いろいろな対策を講じているということは伝わってまいりましたけれども、先ほどお伺いしました支援についてでありますが、冷房設備の設置に対する支援の対象が限定的であります。多くの既存の施設が活用することができないわけであります。対象や補助率について、ぜひ拡充をしていただくよう、指摘をしておきます。
 また、学校などでも設置を進めていくことになります。冷房設備の不足や工事作業員の不足なども想定されるわけであります。この児童福祉に関係する子どもたちの中には、医療的ケア児など、本当に配慮を必要とする子どもたちがいます。その子どもたちの命を守るためにも、しっかりとこの対策を進めていただきますよう、それも指摘をして、質問を終わらせていただきます。

困難な問題を抱える女性への支援等に係る計画(仮称)策定の考え方について

中野渡しほ
⑴計画の基本的事項について
 配偶者からの暴力の防止及び被害者保護・支援に関する基本計画においては、配偶者や暴力防止との用語が使われてきましたが、困難な問題を抱える女性にとって、その相手は配偶者に限ったものではありません。初対面であったり、生徒同士であったり、様々な状況がございます。
 また、女性にとっての困難な問題は、暴力行為だけではありません。自分のお金を使われてしまったり、育児や介護、家事など負担の大きいことを1人に押しつけられてしまうなど、本人にとってつらい行為や環境、人権や自由が阻害されるなど、様々な状況がございます。
 新たな計画は、全ての困難から女性を守るという強く温かい認識を北海道全体に広げることが重要であり、それが困難女性を出さない早期気づきや未然防止につながると考えます。
 女性への加害となる対象を拡大し、その用語や表現を再考することについて、所見を伺います。

和田 子ども家庭支援課長 
 計画における用語や表現についてでありますが、今回策定するいわゆる困難女性支援計画は、来年4月施行の困難女性支援法に基づく計画とDV防止法に基づく配偶者暴力防止計画を一体的に策定する予定であり、支援対象となる女性は、困難女性支援法が定義する日常生活または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性とそのおそれのある女性とし、暴力による被害のほか、不安定な就労状況や経済的困窮など様々な困難な問題も含むものと認識しております。
 また、現行の道の第4次配偶者暴力防止計画では、配偶者の定義を配偶者及び元配偶者、事実婚の関係にある者、生活の本拠を共にする交際相手としており、法的な婚姻関係にある配偶者に限定しているものではありませんが、計画における用語や表現につきましては、困難を与える対象者や様々な状況を示せるよう、しっかりと検討してまいります。

中野渡しほ
⑵「北の大地☆子ども未来づくり北海道計画」「北海道男女平等参画基本計画」などとの整合性について
 困難な問題を抱える女性の中には、予期しない妊娠で悩む女性も含まれることから、妊娠、出産、育児など、女性への支援は子どもの命と健康、生活、成長にも関わるものでありますが、両計画におけるどのような事項や観点を重視して、新たな計画に盛り込もうとしているのか伺います。

和田 子ども家庭支援課長 
 関連する計画との整合性についてでありますが、今般、施行される困難な問題を抱える女性への支援に関する法律は、困難な問題を抱える女性の人権が尊重され、安心かつ自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とし、人権の擁護を図り、男女平等の実現に資することを基本理念とした施策を実施することとされているところです。
 こうした理念につきましては、少子化及び子育て支援対策や、男女平等社会の実現に当たっても共通するものと考えており、「北の大地☆子ども未来づくり北海道計画」の児童虐待防止対策に関することや北海道男女平等参画基本計画の男女平等参画を阻害するあらゆる暴力の根絶など、困難な問題を抱える女性の支援に、より有用と考える施策等を盛り込むことを検討しているところでございます。

中野渡しほ
⑶重要と考える事項の見解について
 困難な問題を抱える女性への支援における喫緊の課題となっている事業や施策等が、新たな計画に重要事項として示されていくことが、予算確保の上からも重要であります。
 喫緊の課題となっている事業等について、道はどのような見解を持っているのか伺います。

森 子ども政策局子育て支援担当局長 
 道の施策についてでございますが、困難な問題を抱える女性を支援するため、現在、道が実施している配偶者暴力防止や母子家庭支援に関連する事業、妊娠相談体制強化事業や性暴力被害者支援事業などは、女性の経済的、身体的な喫緊の課題に対応するため、いずれも大変重要な事業と認識しているところでございます。
 今後とも、こうした取組を含め、困難な問題を抱える女性を支援していくことが大切であり、今回策定する新たな計画において、必要となる支援の在り方などが十分反映されるよう、今後の議会議論や審議会での意見も踏まえ、検討してまいります。

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