(令和5年11月08日)
子ども政策調査特別委員会会議録

質問内容/答弁内容

北海道子どもの生活実態調査の結果について

中野渡しほ
⑴調査結果について

 道では、北海道大学大学院と共同で子どもの生活実態調査を実施し、ただいまその調査結果の報告があったところでございます。
 今の御報告だけでも、大変意義のあった調査であったと考えておりますが、その上で以下、伺ってまいりたいと思います。

中野渡しほ
1.調査結果による見解について

 乳幼児と小・中・高それぞれの調査をしてくださっておりますが、その調査結果について、道の見解を伺います。

和田 子ども家庭支援課長 
 調査結果についてでございますが、本調査は、子どもの貧困対策を効果的に推進するため、世帯の経済状況と子どもの生活環境などとの関係を把握することを目的に実施しており、調査時期や方法が異なるため、乳幼児期と小・中・高の学齢期を対象に区分しておりますが、いずれも調査結果から、世帯類型や所得階層での生活実態やおおむねの傾向が把握できたものと考えております。

 全体の傾向といたしましては、所得階層が低くなるほど貧困のリスクが高まる傾向にあり、健康状態や子育ての悩み、不安を多く抱えている状況が明らかとなっております。
 また、本調査の実施時期は、新型コロナウイルス感染症が拡大している時期であり、コロナ禍により、所得階層が低くなるほど「世帯の収入が減った」「世帯の支出が増えた」などの家計への影響や「学習に支障がでた」とする子どもへの影響が高かったことが把握できたところでございます。

中野渡しほ
 コロナ禍の影響を大きく受けたというのが、所得が低くなっている方々から見えてきたということは、重要な視点だと思います。
 また、そういう方々が不安定な職業にも関わっていたのかなということも見えてまいりました。
 支出が増えたというのは、恐らく、家庭の中でお子様が過ごす時間が多くなる中で、そういう出費が増えていったというのも想像できますが、いずれにしても、そういう調査の結果から見えてくるものがありました。

中野渡しほ
2.課題についての認識について

 乳幼児と小・中・高の調査結果を踏まえた上で、どのような課題があると認識をされているのか、道としての認識を伺います。

和田 子ども家庭支援課長 
 課題についてでございますが、調査結果では、特に独り親世帯の約6割が所得階層の最も低い層に位置し、今後の生活に対しての不安感を抱える割合が多いほか、子育ての悩みや子どもの将来についての不安を抱えている傾向が強く、経済的な支援の必要性を改めて認識したところでございます。

 また、一時預かり事業や子ども食堂、生活保護、就学援助などの子育てに関する制度やサービスについて、知らなかったとする割合が一定程度おり、制度等の情報提供の在り方に課題があると考えているところでございます。

中野渡しほ
 独り親世帯の約6割が、所得階層の最も低い層に位置しているとのことでございます。
 そして、経済的支援の必要性の認識を示されたわけでございますが、また一方で、様々な制度の理解や手続が困難で、受けられずにいる方もいるということでした。
 私も子育てしておりますけれども、そういった制度の説明というのは、かなり丁寧に親は知らされるのですが、それでもなおかつ、そこの理解が難しいという場合は、相当の支援、手厚いサポートが必要だということを考えるところでありますけれども。

中野渡しほ
3.課題に対する対策について

 道が認識しているこのような課題について、どのような対策が必要と考えられているのか、重ねて伺います。

和田 子ども家庭支援課長 
 課題への対策についてでございますが、所得階層が低所得層にある独り親世帯に対しましては、生活の安定や自立を図る必要があると考えており、これまでも児童扶養手当の支給や母子父子寡婦福祉資金貸付金の貸付け等を実施しているところでございます。

 また、独り親世帯では、収入や雇用が不安定な非正規就労者が多いことから、生活相談や就労支援を重要視しており、道内6か所に母子家庭等就業・自立支援センターを設置するとともに、各振興局に母子・父子自立支援員を配置し支援を行うほか、必要なサービスへの情報提供に努めております。
 道といたしましては、これまでの取組を着実に実施するとともに、各種制度の理解や手続に関し、個別ニーズに応じ、丁寧な対応に努めてまいります。

中野渡しほ
【指摘】

 低所得層にある独り親世帯に対しては、生活の安定や自立を図る必要があるという、その必要性を示されたわけでありますが、この冬から春にかけて、また物価やエネルギーの高騰は続いていくわけでありますので、そういったところを手厚い、より支援が必要でありますので、その点を指摘しておきます。
 制度、手続そのものの理解や手続が困難という方々にとりましては、恐らく、その手続そのものの難しさだけではない、ほかにも様々なところで配慮が必要な家族である可能性が高く、そういったところは、関係機関とも連携をしながら、支援体制全体を整えていっていただきたいと思います。
 次に、進学に対する希望の調査結果と大学無償化について伺います。

中野渡しほ
4.「進学に対する希望」の調査結果と大学無償化についての所見について

 小・中・高の進学に対する希望で、子どもにどの段階まで教育を受けさせたいかとの設問において、4年制大学またはそれ以上と回答した割合が、低所得、所得の階層が低くなるほど低い割合になっております。
 この調査結果に対する道の認識と、大学無償化についての所見を伺います。

和田 子ども家庭支援課長 
 進学に対する希望についてでございますが、4年制大学や6年制大学または大学院へ進学する場合、授業料の負担や高価な教科書の購入など多額の費用が必要となるため、低所得層においては経済的に大学進学が難しいとの思いがあると推察されるところであります。

 また、大学所在地以外に居住している場合、自宅以外から通学する必要があり、授業料などに加え、アパート等の家賃や生活費の負担を要するため、特に独り親世帯や低所得世帯では、給付型奨学金の拡充や授業料の無償化が望まれているものと考えております。

中野渡しほ
授業料、家賃、生活費など全部をと考えると、そもそも経済的な理由から諦めてしまう、希望しない状況になっているということがあるのかもしれません。
 そういったところを、ぜひ、関係の部とも連携をしながら、大学の無償化が進んでいくよう、要請も進めていただけたらと思います。

中野渡しほ
⑵児童手当18歳までの引き上げについての所見について

 児童手当についてもお伺いしていきたいと思います。児童手当について、国では支給年齢を18歳まで引き上げることを検討しておりますが、道の所見を伺います。

森 子ども政策局子育て支援担当局長 
 児童手当の拡充についてでございますが、児童手当は、現在、支給対象が中学校修了までの児童で、高所得者については支給対象外となっておりますが、今年の6月に国から示されたこども未来戦略方針において、所得制限の撤廃や支給対象年齢の18歳までの引上げ、第3子以降の支給単価の増額といった拡充内容が示されたところでございます。

 道としましては、児童手当の拡充については、子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上のほか、子どもたちの生活学習環境の向上に向けた取組として効果的であると考えますが、地方負担の増も懸念されますことから、今後の国の動向を注視してまいります。

中野渡しほ
子どもの生活や学習の環境が向上することが、とても大事なことだと思っております。家庭にまだエアコンがない方も多くいらっしゃいますが、これがあると分割でもエアコンの設置が可能になってきたり、また、諦めていた習い事であるとか、塾を利用するとか、そういったことが可能になってくる世帯も出てくると思います。
 このような調査結果を基に、早期に拡充が望まれるところでありますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、独り親世帯などに対する今後の対応について、お伺いいたします。

中野渡しほ
⑶ひとり親世帯などに対する今後の対応について

 今回の調査結果において、独り親世帯や低所得世帯において、経済的に厳しい状況にあることが、明らかになったと考えます。
 今回の調査結果を踏まえ、道では今後どのような取組を行っていくのか、伺います。

野澤 保健福祉部子ども応援社会推進監 
 今後の対応についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の長期化や物価高騰は、全ての子育て世帯に影響を及ぼしており、特に独り親世帯や低所得世帯に大きな負担と不安を与えているものと認識しております。

 道といたしましては、これまで独り親家庭の親御さんの資格取得のための自立支援給付金、児童扶養手当や食費等への物価高騰の影響を緩和するための子育て世帯への臨時給付金などの支給により、独り親世帯などへの支援に取り組んでいるところでございます。
 今回の調査結果を踏まえまして、道といたしましては、今後予定されております北海道子どもの貧困対策推進計画の見直しを行うとともに、独り親世帯などで経済的に厳しい状況となっておりますことから、所得向上を図るため、就労支援をより丁寧に行うなど、必要とされる支援の充実にしっかりと取り組んでまいります。

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