(令和5年12月13日)
子ども政策調査特別委員会会議録

質問内容/答弁内容

保育人材の確保について

中野渡しほ
⑴待機児童の状況について

 保育ニーズの高まりを受け、保育所に入りたくても入ることのできないという声を多く伺っております。いわゆる待機児童の発生の問題ですが、国では、新子育て安心プランに基づき待機児童の解消を掲げ、令和5年は全国で2680人と、調査開始以来5年連続で最少となっているようでございます。
 では、道内の状況や推移はどのようになっているのか伺うとともに、国の基準で待機児童とみなされない、いわゆる潜在待機児童の状況についても伺います。また、道の受け止めについても、併せて伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長 
 待機児童の状況についてでありますが、道内における過去5年の状況で見ますと、平成31年以降、その数は年々減少してきていましたが、本年は前年と比べ40人増加し、4月1日現在で62人となっているところです。

 また、自宅の近くや、きょうだいと同じ保育所への入所を希望し、待機をしているなど、いわゆる潜在待機児童につきましては令和2年以降減少に転じており、前年に比べ218人減少し、4月1日現在で1414人となっているところです。
 待機児童が発生している主な要因としましては、出産後、早期に復職を望む方などが増え、低年齢児の保育ニーズが増加し、保育所等において必要な保育士が確保できず、受入れが困難になったことなどが挙げられており、この解消に向け、安定的な保育士の確保が重要と認識しております。

中野渡しほ
【指摘】

 道の待機児童数は62人、その一方で保護者が希望する園に入れない児童は、1414人いるとのことであります。保護者の声を伺いますと、復職までに間に合わせるためには、行政側が勧める空いている園に入るしか選択肢がないとのことであります。そのとおりにすることで、ポイントがついて、数年通うとポイントが上がっていって、ようやく希望の園に入ることができるというような仕組みになっている自治体もあるようでございます。しかしながら、きょうだい別々の園に入っていると送迎も大変でありますし、また、お子様にとっても環境が変わるということは、大きな負担であります。この潜在待機児童の解消に向けた、道としての対策もしっかりとつくり上げていくよう指摘をしておきます。

中野渡しほ
⑷保育士の質の向上ついて

 保育士が抱える悩みを解消できるような方策を学んだり、保育士が自らのキャリアデザインを描いて、やりがいを持って働き続けることができるような、研修などの実施による資質向上も重要であると考えております。道の取組について伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長 
 保育士の質の向上についてでありますが、保育の現場において、質の高い保育を提供し、その水準を維持していくことは、保育士がやりがいや将来に希望を持ちながら働き続けていく上で、大変重要であると認識しております。

 このため道では、初任保育者や中堅保育者が専門的な知識を習得できるよう、北海道幼児教育推進センターと連携した研修を実施するほか、北海道社会福祉協議会への委託による経験年数等に応じた階層別研修、さらには、保育所等が保育士のキャリアパスの仕組みを構築できるよう、副主任保育士や職務分野別のリーダーを養成するための研修の受講環境を整備し、保育士の資質向上に取り組んできたところです。

中野渡しほ
【指摘】

 多種多様な研修の機会や学びやすい環境の整備を進めてこられたことがよく分かりましたが、保育士が抱える負担や悩みの中で多いのが、発達的な配慮が必要とするお子様の関わり方であるとか、保育所に不満を持っている親への対応、また、保育所内の方々には相談しにくい人間関係など、様々な問題があります。時間をかけながら研修を受けても、解決の糸口が見つからない悩みも多くあるわけです。学校におきましては、スクールロイヤーがおります。そういった相談できる専門家がいるわけですが、保育士にもぜひ、個別のスーパーバイズや相談対応が可能な相談窓口の設置をすべきと考えます。その点を指摘をしておきます。

中野渡しほ
⑶保育士の処遇改善ついて

 保育士が確保できない、また定着しないという原因の一つとして、他の産業に比べますと賃金が低く、また、配慮が必要な子どもを抱える保育士の方々からは、他職種、例えば栄養士、調理師、用務員、運転手などもおりますけれども、その方々と加算を分配している保育園もあるとのことで、国の加算による支援が保育士自身に十分行き届いてないといった声も伺っております。
 これまで、国や道では保育士の処遇改善に係る取組をどのように進めてこられたのか、また、これらの取組によって、支援が保育士に着実に、確実に行き渡る必要があるわけですが、その現状とこれまでの取組について伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長 
 保育士の処遇改善についてでありますが、国は、保育士を確保し、質の高い保育を安定的に供給するため、平成25年度に賃金水準改善のための処遇改善加算を創設したほか、昨年2月からは新たに一律9000円の賃金改善が行われたところであり、道では、加算の取得に向けた働きかけや要件となる研修の受講環境の充実などに取り組んできたところです。

 これらの加算については、国の通知により、職員の賃金改善に確実に充てることが要件とされているものの、支給額及び対象者数については、各事業所における様々な職種の人員配置の状況や、賃金体系を踏まえた柔軟な運用が認められております。
 このため、道では、保育士に対する適正な支給が行われるよう、保育の実施主体である市町村と連携し、加算の適切な取扱いについて実態を確認するほか、指導監査の場などを通じ、給与への反映について、必要な助言指導を行ってきているところです。
 また、現在、国では、加算が現場で働く方に行き渡るようになっているかどうか、費用の使途の見える化に向けて、議論が進められていると承知しております。

中野渡しほ
【指摘】

 先ほど来、お話が出ております、発達的な配慮が必要な児童のための加配の職員の方がいます。その方も加算の対象となるように、国にしっかりと求めていただきたいと思います。
 また、保育士以外の、先ほどお話ししました栄養士などの他職種の方でありましても、その職業のままで保育園の勤務が4年以上の方には研修を受けるなどとすることによりまして、保育士と同様の立場になって、国の加算の正規の対象となるということもあります。そういう方を増やしていくことも重要であると考えます。積極的に推進をしていただくよう、指摘をいたします。

中野渡しほ
⑸今後の対応ついて

 最後になりますけれども、国では、保育士の配置基準の見直し、そして、こども誰でも通園制度の導入などが見込まれております、今後も保育士が一層必要となるわけです。保育士を安定的に確保しなければなりません。処遇改善や質の確保にどう取り組んでいくのか、伺います。

野澤 保健福祉部子ども応援社会推進監 
 今後の対応についてでありますが、道ではこれまで、保育士の処遇改善を図るため、子育て支援員の配置促進や処遇改善加算の取得に向けた研修の受講環境の充実など、各般の施策に取り組んできたところでございます。

 こうした中、国のこども未来戦略方針では、保育士の配置基準の見直しや民間給与水準を踏まえたさらなる処遇改善、規制改革実施計画では、保育士不足の解消に向け、地域を限定した試験制度の導入を検討することとされております。
 また、現在試行的に運用されておりますこども誰でも通園制度につきましては、令和7年度に制度化することとされており、道といたしましては、こうした国の動向を踏まえ、これまでの取組を着実に進めますとともに、現在、道内の保育士登録者や養成施設の学生等を対象として実施しております実態調査におきまして、勤務する上での必要な支援などを把握しながら、保育人材の効果的な確保対策の検討を進めるなど、今後とも、持続可能な保育の提供体制づくりに取り組んでまいります。

中野渡しほ
【指摘】

 地域限定試験制度というのが、今、答弁に出ておりましたが、この導入はぜひとも道としても実施していくべきと指摘をいたしたいと思います。現在、年2回の受験ができるようになっておりますけれども、これが年3回ということになりますと、4か月に1度のチャンスが巡ってくるわけです。質を落とさずに、記憶の新しいうちに補足的な学習を積み上げて合格率を高めていくことができます。この保育士確保にしっかりつながる制度になると思っております。また、子育て支援員の方で、日常的に子どもさんと触れ合いながら経験もキャリアも積んでいる方が身近におりますので、その方々にもぜひとも研修や試験を受けやすくなるような制度体制もつくり上げていただきたいと思います。
 この保育士の配置基準の見直し、こども誰でも通園制度、これは導入に向けて今から準備をしなければならないと考えます。その人材の確保を、今から道として進めていただきますようお願い申し上げ、質問を終わります。

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