(令和6年02月7日)
子ども政策調査特別委員会会議録

質問内容/答弁内容

こども未来戦略について

中野渡しほ
⑴戦略の認識について

 国においては、次元の異なる少子化対策の実現を目指すこども未来戦略を、昨年12月末に決定いたしました。この戦略では、今後3年間の集中取組期間において実施すべき、こども・子育て支援加速化プランの内容が明らかにされました。次元の異なる少子化対策として、一つ目に、構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすこと。二つ目に、社会全体の構造や意識を変えること。三つ目に、全ての子ども子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること。これら三つを基本理念として、抜本的に政策を強化することとされております。
 道ではこれまで、本道の実情を踏まえ、子ども施策に関する様々な要望を国に対して行ってきたと承知しておりますが、この戦略にはどのような形で反映されているのか、また、そうした反映状況を踏まえ、この戦略について道ではどのような評価をしているのか、所見を伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
こども未来戦略についてでありますが、この戦略は、次元の異なる少子化対策の実現に向け、取り組むべき政策強化の基本的方向を取りまとめたものでありまして、これまで道が国に要望してきました地方財源の確保や保育士の配置基準等の改善、児童扶養手当の拡充、高等教育費の負担軽減のほか、児童手当の拡充や男性育休の取得促進、1か月児及び5歳児への健康診査の実施など、大きな道筋が示されたことは、子ども子育て施策の強化に向けた大きな一歩と考えております。

中野渡しほ
【指摘等】

 我が会派、それに私自身も訴えてきたものが盛り込まれておりますが、今後は特に、1か月検診の実施に当たって、医師会との協力体制を構築していくべきであり、重要であることを指摘をしたいと思います。新生児、そして乳児期にかけては、皮膚の問題、母乳やミルクの飲み方や量、夜泣きの質など、医療の面からも診ていくことが大変重要でありまして、早期発見、早期対応、治療、そういうことも含めまして、医師との連携、これをしっかりと構築すべきと強調しておきます。

中野渡しほ
⑵病児保育について

 今般示された、こども未来戦略の中では、全ての子育て世帯を対象とした保育の拡充がうたわれております。その中の一つに、病気にかかった児童を自宅で看病することができない場合に一時的に保育を行う、病児保育事業について財政的な支援の拡充が示されました。そして、国の予算に盛り込まれたと承知しております。
 この拡充の内容について伺うとともに、事業を展開する上では、スペースや人材の確保など様々な課題があると承知しておりますが、道としてどのように事業の充実を図っていこうとしているのか、お考えを伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長
病児保育についてでありますが、安定的な運営を図る観点から、こども未来戦略において、補助単価の引上げ等が示され、令和6年度予算では、基本単価の引上げに加え、保育士等の職務の特殊性や申込みの当日キャンセルに伴う収入減に対応した加算が設けられたところです。

 子育てと仕事を両立する家庭の子どもにとって、病児や病後児を受け入れる病院や保育所などを整備していくことが重要であり、道ではこれまで、国の地域子ども・子育て支援事業の病児保育事業を活用しながら、市町村に対し、施設の開設準備経費や運営費の支援を行ってきたところです。
 道としましては、今後とも、助成制度の周知や事例紹介を通じて、人員や場所の確保といった市町村が抱える課題に対し助言を行うなど、住み慣れた地域で働きながら、安心して子育てができるよう、体制整備を図ってまいります。

中野渡しほ
【指摘】

 申込み当日のキャンセルに伴う収入源に対応した加算が設けられたということは、高く評価したいと思います。その上で、これはかねてから私からも訴えさせていただいておりますが、病児の保育だけではなく、障がいのある子どもや医療的ケア児など、専門的な支援が必要な子どもたちへの、地域における包括的な支援の強化が今回の戦略で挙げられているわけですから、そこにも対象を広げていくよう、そこも国に強く訴えていただきたいということも指摘をさせていただきます。

中野渡しほ
⑶医療的ケア児の保育について

 医療的ケア児の保育について伺います。医療的なケアが必要な子を持つ保護者の方々からは、身近な地域の保育所等で預かっていただきたいといった声が多いということは、かねてからこの委員会でも訴えさせていただいております。
 こうした保護者のニーズに対応し、地域の中で子育てを進めていくためにも、保育所等での受入れ体制の整備が必要と考えますが、道の考えを伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長 
 医療的ケア児の保育についてでありますが、道ではこれまで、保育所等での医療的ケア児の受入れ体制を整備する市町村に対し、看護師等を配置するための人件費や喀たん吸引を行う保育士等の研修受講経費を補助してきたところです。

 令和4年度は、16市町村で補助を活用するなどして、医療的ケア児の受入れを行っていますが、その年によって対象となる子どもがいない場合もあり、看護師などを継続的に確保することが難しいなどといった課題もあると伺っております。
 こうした中、国では効果的な看護師配置を行うため、巡回により看護師を配置する制度を新たに創設したほか、保育士等が医療的ケアを行う際の様々な研修の受講経費の補助対象拡充や医療的ケア児の個別性に応じたベッドやだっこひもなどの備品購入のメニューを追加しており、道としましては、こうした制度の活用により、受入れ可能な保育所等が増えるよう、地域の保育ニーズの把握に努めながら、市町村への助言や働きかけを行い、医療的ケア児の受入れ体制の確保を図ってまいります。

中野渡しほ
 道内で16市町村が医療的ケア児を受け入れているということを確認をさせていただき、また、備品のメニューに予算がついたということでもありますが、ぜひ、個々人にしっかりと合った、バギーにも活用していただけるように求めたいと思います。

中野渡しほ
⑷「こども誰でも通園制度」について

 次に、こども誰でも通園制度についてお伺いいたします。全ての子どもの育ちを応援し、質の高い保育環境を整備するとともに、ライフスタイルに関わらない形での支援を強化するため、今般の戦略では、こども誰でも通園制度の制度設計について示されたところであります。既に国では、本年度から保育所等の空き定員などを活用したモデル事業が展開されております。道内の白老町で、モデル事業が行われたわけでございます。
 国は、来年度も実施する自治体を拡大してモデル事業を実施する予定でございますが、実施に当たっては、受入れ時間が月10時間以内と制限されているなど、子どもや保護者ではなく、園の都合で受入れを制限するような、いつでも誰でも利用できる制度とは言い難いものであるという現状にあります。いつでも誰でも利用できる制度をしっかりと行っていくため、令和7年度からの制度化に向けて、道として現状と課題をどのように捉え、どのように制度の浸透を図っていくお考えか、伺います。

中村 子ども政策企画課子ども成育支援担当課長 
 新たな通園制度についてでありますが、国では、未就園児やその家族の支援を強化するため、就労要件を問わずに子どもの保育を利用できる制度として、仮称ではありますが、こども誰でも通園制度を創設することとしたところであり、令和7年度からの制度化に向け、今年度実施しているモデル事業をさらに拡大し、令和6年度は試行的事業として、道内では、札幌市、函館市、旭川市、美幌町、浦河町、別海町の6市町での実施が採択されたところです。
 この試行的事業は、月ごとの利用時間が1人当たり10時間以内とされており、上限設定には様々な意見があるほか、一時預かり事業との違いや保育従事者の確保などが課題とされており、制度化に当たっては、試行的事業の結果を踏まえ、国においてさらに検討が進められるものと承知しています。
 道としましては、こうした国の動きを踏まえつつ、来年度、事業を実施する市町の取組状況の把握に努め、他の市町村に対して情報提供を行うほか、把握した課題等について知事会と連携して国に要望を行うなど、制度の本格実施に向け、道内市町村や親子にとって利便性の高いものとなるよう、必要な取組を行ってまいります。

中野渡しほ
 白老町で実施がなされていて、既にこの10時間という縛りは、子どもさんが慣れにくい状態にあるなど、課題が挙げられている状態にあるわけでございます。モデル事業を行う6市町村が同じことを経験するということがないように、先にこの課題をしっかりと周知していただいて、お母さんも子どもも負担や不安がないよう、しっかり気に留めてフォローしながら、この制度を推進していただきたい。そして、その課題をしっかりとまた生かした形で通園制度を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

上部へスクロール